「生活保護」の状態から、奨学金や借金でハーバード大学に進学したパトリック・ハーラン(パックン)。現在では東京都心に邸宅を構え、お金に悩まされずに、家族と楽しく過ごしています。この大逆転の理由を、パックンは「お金を育てる方法」を知っていたから、と語ります。最新刊『パックン式 お金の育て方』では、誰にでもマネできるお金との付き合い方を紹介しています。ハーバード卒のパックンが心底納得し、自身を形作った「超リアルなアメリカの金融教育」を紹介。一流のマネーリテラシーを身につけるためのパックン式メソッドを本書から一部を抜粋・再編して大公開します。
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■アメリカは、お金にうるさすぎる?
僕は貧しい家庭に育ったので、「お金のことを考えたくない」という気持ちを強く持っていました。
でも、アメリカでは、お金を無視して生きるのはとても難しかったです。
たとえば、アメリカには「お金がないと異性にモテない」という価値観があって、大人になっても親元で生活している人はバカにされる風潮があります。
子どもの間にも、格差があるのは明らかです。
通える学校、住めるエリア、参加できるアクティビティー、目指せる職業など、家庭の経済状況によって、子どもの生活や将来は著しく左右されます。
家庭が貧しくて、治安の悪いエリア育ちの子は「From the other side of the tracks.(線路のあっち側から来た子だ)」と差別されるし、お金持ちの子どもは「Born with a silver spoon in his mouth.(銀のスプーンを口にくわえて生まれた)」と揶揄されます。
アメリカには、何事もお金で測るような醜い風習も実際にあります。
このようにアメリカ文化には良い面、悪い面があります。
■アメリカの金融教育は、「超リアル」
しかし、良い面を、ここでは取り上げたいと思います。
それは、学校教育にもお金のことがしっかり取り入れられていること。
僕がいた中学校は、とくに金融教育に力を入れていたようです。そうした授業の中でも印象に残っているのが、超リアルな「人生ゲーム」。
日本で知られている人生ゲームは、ルーレットを回して、止まったマス次第で勝敗が決まりますよね。「ミスコンで優勝したから、◯ドルプラス」「財布を落としたから◯ドルマイナス」みたいな感じ。基本的には運の勝負なので、面白いけれどリアルとは違います。
僕が中学校でやった人生ゲームはこんな感じでした。