
「今回、この企業と巡り合えて本当にラッキーだった。中小企業が持つ底力や課題、魅力を知ることができた。人材確保や若手社員をどう戦力化すべきか。課題はいっぱいある。この経験はこれからの働き方を考えていく上で非常に役立つと思う。この年齢で国立大学で学べることも魅力的です。この体験が残りの人生で生かせるといい」
神野さんは、派遣期間の終了後は東京に戻る予定だが、同センターは、プログラム修了後の地域内への定着も目指した取り組みをしているという。
リクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査」によると、「仕事に満足している人の割合」は50歳が35.9%、60歳が45.3%、70歳が59.6%と定年後に圧倒的に増えていることがわかる。
リクナビの編集長などを経て、企業の人材育成などに取り組むFeelWorksの社長を務める前川孝雄さんに話を聞いた。
「昔は『60歳で定年し、余生は10年ほど』でしたが、今や90歳代まで生きるようになり、60歳からは30年ぐらいあります。余生というより、『もう一度生き直す』と考え、頭の切り替えをしないといけません」
前川さんが考える仕事に向かう三つの力、「WILL(今やりたいこと)」「CAN(今できること)」「MUST(今やらなければならないこと)」のうち、自分のやりがいにつながる力はWILLという。
「しかし、30年余り会社勤めをしてきた人は、自分のWILLを鍛えるトレーニングを日頃からしていないので、『キャリア自律筋肉』が鍛えられていないのです。そこで自分の働きがいを見つけるためにまずはCANを探すこと。どんな人にも、誰かのために役立つ力があります。そのCANを見つけて伸ばすことが、『生き直し=働き直し』につながると思います」
それが見つからない人はどうしたらいいのか。
「多様性の場に身を置くことです。若い世代とか、様々な価値観を持っている人々と交流しましょう」