2021年9月にビジャセカ・デ・ラ・サグラ村で行われた、新型コロナウイルス感染拡大後初めての牛追い祭り。サン・フェルミン祭は22年7月に再開(photo Agencia EFE/アフロ)
2021年9月にビジャセカ・デ・ラ・サグラ村で行われた、新型コロナウイルス感染拡大後初めての牛追い祭り。サン・フェルミン祭は22年7月に再開(photo Agencia EFE/アフロ)

 そして、12月2日に控える第3戦の相手はスペイン。こちらは世界ランキング7位と相当な格上だ。民族舞踊フラメンコなどから、情熱的な国民性をイメージする人も多いだろう。実際、スペイン名物の一つが、ダイナミックなお祭りだ。「サン・フェルミン祭」は通称「牛追い祭り」ともいわれ、人々が牛とともに街を駆け抜けるエンシエロという行事が目玉。毎年、多くの負傷者を出し、参加は命がけだ。人々がトマトをぶつけ合う「ラ・トマティーナ」も有名。普段は静かなブニョールという田舎町が、この日ばかりはトマトと熱狂で真っ赤に染まる。

 『地理×文化×雑学で今が見える 世界の国々』を参考に、歴史を紐解いてみよう。古くから他国による奪い合いと支配が繰り返されてきたイベリア半島に位置し、ローマとカルタゴによるポエニ戦争の舞台となり、勝利したローマ帝国の支配下となる。しかしその後、支配権は次々に移行し、再征服活動「レコンキスタ」を経て、約800年をかけてスペイン王国が成立。カトリックの勢力がイスラームから半島を取り戻すに至った。以後、植民地を増やして「太陽の沈まない国」といわれるほど発展するが、19世紀前半のナポレオン戦争以降は苦難が続き、植民地の多くを失っていった。

 ただ、苦難の歴史の痕跡はいま、人気の観光名所となっている。イスラーム王国による支配の最中に建てられた「アルハンブラ宮殿」、イスラームのモスクとして造られ、レコンキスタ後にカトリックの礼拝堂となった「コルドバの聖マリア大聖堂」など、当時の情勢や事情が絡み合って生まれた見事な建造物は一見の価値がある。

スペイン王国の首都はマドリード。人口は約4708万人で通貨は「ユーロ」。公用語はスペイン語でカトリック教徒が多数だが、イスラーム教徒も。サグラダ・ファミリア完成を世界が待ち望む(photo ロイター/アフロ)
スペイン王国の首都はマドリード。人口は約4708万人で通貨は「ユーロ」。公用語はスペイン語でカトリック教徒が多数だが、イスラーム教徒も。サグラダ・ファミリア完成を世界が待ち望む(photo ロイター/アフロ)

 もう一つ、スペインといえば世界遺産「サグラダ・ファミリア」だ。建築が計画されたのは1882年。建築家アントニオ・ガウディが設計し、彼の死後も建設が続いていることはよく知られている。完成まで300年と言われていたが、近年の建築技術やITの発展により、工期は大幅に短縮される見通し。コロナ禍の影響で当初発表された2026年には間に合いそうにないが、永遠に続くと思われた工事は終了が見えてきている。

(構成 生活・文化編集部 上原千穂)

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