
日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム。今回は「コロナワクチン4回目追加接種のタイミングと再感染のリスク」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
* * *
11月に入り、どうやら今年の冬のコロナの流行が始まったようです。高熱や喉の痛み、倦怠感や息苦しさなどを訴えて受診される方にコロナの抗原検査を実施すると、陽性を認めるケースが増えきています。
私事ですが、10月の下旬にコロナに罹患しました。最近の感染者数の経過や、外来現場でのコロナ疑いの患者さんの数が増えているのを目の当たりにし、ちょうど自分自身がコロナ罹患したのは、今年の冬の流行がちょうど始まった頃だったのだなあと今になって感じています。
コロナのパンデミック以降、発熱外来を含む内科の外来診療に携わり続け、コロナの検査をしない診療日はないほど多くのコロナ検査をしてきたにも関わらず、幸い体調を崩すことなく診療やワクチン接種に携わることができていました。オミクロン変異株で発熱外来がパンクした今年の夏は、「もうコロナになってもおかしくない……」と覚悟したほどの流行だったにも関わらず、コロナに罹患せずに乗り切ることができていました。10月末に抗原検査でコロナ陽性の判定が出た時は、「えっ今更!?」と驚いてしまいました。
ワクチンの有効性は、免疫原性(抗原などの異物が、ヒトや他の動物の体内で免疫応答を引き起こす能力)の時間依存性と懸念される変異株の免疫逃避能力の両方により低下することが指摘されています。
例えば、米国のCenters for Disease Control and Prevention COVID-19 Response TeamのJill氏らは、ワクチンの追加接種による有効性について2022年10月3日にThe BMJに報告しています。