写真はイメージ

 その調査によると、米国退役軍人省の全国医療データベースを用いてコロナ感染経験がない533万4,729人、コロナ感染が1回の44万3,588人、コロナ感染が2回以上の4万947人を比較・解析した結果、繰り返しコロナに感染した人は感染経験がない人に比べて約2倍多く死んでおり、約3倍多く入院していたことがわかりました。

 また、コロナに再感染した人は感染が1回である人に比べて肺、心臓、脳(神経)の不調をそれぞれ3.5倍、3倍、1.6倍生じやすいという結果も得られました。筆者らは、コロナ感染を繰り返すにつれて健康不調の危険性は累積して上昇するようであり、すでにコロナに2回や3回とコロナに感染している人は、再感染予防のための戦略が必要であることを指摘しています。

 イスラエルのPaul氏らは、コロナに感染した951人を対象としコロナ感染後の長期症状を調査し、最も一般的な症状は、疲労(22%)、頭痛(20%)、手足の衰弱(13%)、持続的な筋肉痛(10%)であり、年齢や発症から回答までの期間、もとの症状を考慮した後に解析した結果、ワクチン2回接種済みの人のそれらの症状の発現率は、非接種の人よりもそれぞれ62%、50%、62%、66%低かったことを報告しています。

 私の場合、3週間ほどですっかり改善し、幸いにもコロナ感染後の長期症状は認めていません。4回目の追加接種を終えていたとしても、同時期にコロナに感染していた可能性は十分に考えられます。とはいえ、冬の流行が始まる前にもう少し早く追加接種を終えていれば、結果は変わっていたかもしれないと、ちょっとばかり後悔している今日この頃です。


山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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