その中で選手としっかりと信頼を構築し、熱い言葉でチームを奮い立たせることもできる。懸念は川崎以外のクラブでの監督経験がないこと。常に“強者のサッカー”を展開してきただけに、立場が逆になった際にどうなるか。肝心の「川崎の強さ」も、前任の風間八宏監督が作り上げたベースがあったからこそであり、代表監督としてどこまで対応力があるのかは未知数だ。だとしても“試したい人材”ではあることは間違いなく、日本代表でも攻撃的なサッカーを展開してくれるはずだ。

 現役時代の知名度とカリスマ性を重視するならば、名波浩氏の名前が挙がる。1972年11月28日生まれの50歳。左足から正確なパスを武器にジュビロ黄金期の中心として活躍し、イタリア・セリエAでもプレー。日本代表では背番号10を背負って1998年W杯フランス大会に出場し、2000年のアジア杯ではMVPを獲得した。2008年を最後に現役から退き、解説者として的確な分析力を披露した後、2014年のシーズン途中にJ2・磐田の監督に就任。2年目の2015年にJ1昇格に導き、4年目の2017年にはJ1で6位という結果を残した。現役14年間で培った「戦術眼」は一流で、高い言語化能力と優れた人身把握術で自らをモチベーターと評する。

 ただ、2018年以降の成績が芳しくなく、磐田を2019年途中に退任(クラブも同年にJ2降格)し、2021年途中から指揮した松本山雅でも結果を残せなかった(2021年にJ2からJ3に降格、2022年はJ3で4位)。だが、戦力不足が低迷の大きな要因であることは間違いなく、多くの選手の中から「選べる」代表監督ならば、名波監督の理想のサッカーを実現できる可能性と期待は大いにあり、戦術面などで足りない部分はアシスタントコーチが参謀役としてカバーすればいい。11月22日に松本山雅の監督退任が発表されたばかりで契約上の支障もない。“名波ジャパン”ならば一般層への発信力もあり、課題である代表チームの人気回復にも効果的なはずだ。

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