Jリーグの監督としての実績、経験値ならば、長谷川健太氏の名前が真っ先に挙がるはずだ。1965年9月25日生まれの57歳。Jリーグ草創期のスター選手であり、日本代表としてドーハの悲劇も経験した男。ここまで清水で6年、G大阪で5年、FC東京で4年に渡ってチームを指揮し、今年から自身4クラブ目となる名古屋で監督を務めている。試合中の選手交代術に優れた「勝負師」としての評価が高いが、特筆すべきは「安定感」。常に上位争いを繰り広げ、監督通算16年間で2ケタ順位は2回のみ。

 G大阪時代の2014年には国内三冠を達成し、J1通算229勝は西野朗(270勝)に次ぐ歴代2位を誇る。戦術的には堅守速攻を軸としたリアリストで、それ故に長くチームを指揮する間に娯楽性の低さをサポーターから批判されることもあったが、彼が去った後の清水、G大阪の状況が、長谷川監督の能力の高さを改めて裏付けるものにもなっている。仮に日本代表を率いることになれば、しっかりとした守備組織を構築した上で前線からのプレッシング&ショートカウンターという森保ジャパンのドイツ戦に通じたサッカーを展開してくれるはずだ。だが、現実的には今年11月8日に名古屋との契約を更新したばかり。現時点での“健太ジャパン”の発足はかなり困難なものとなった。

 もう一人、ここ数年で一気に“日本人筆頭”に躍り出ている監督が、鬼木達氏だ。1974年4月20日生まれの48歳。現役時代は鹿島、川崎でプレーしたが、知名度を高めたのは指導者になってから。川崎の育成・普及コーチ、トップチームのコーチを経て、2017年にトップの監督に就任すると、1年目でいきなりクラブ史上初のリーグ制覇を達成。以降も主力選手が退団する中で優れたマネジメント力を発揮し、今季までの6年間でJ1優勝4回(2位1回、4位1回)という常勝軍団を作り上げた。その結果だけでなく、「即時奪回」からの攻撃的なパスサッカーは多くのファンを魅了することができ、「5レーン」や「ポジショナルプレー」など戦術的にも欧州の最先端に近いものがある。

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