日本眼科学会の「オルソケラトロジーガイドライン(第2版)」では、対象は近視度数-4D(ジオプトリー)まで、乱視度数−1・5D以下と定められている。さらに20歳未満は「慎重処方」となっている。ガイドラインの作成に携わった吉野眼科クリニック院長の吉野健一医師はこう話す。

「近視抑制効果を期待するなら眼軸長が伸びやすい小学校低学年から高校生くらいまで使用するのが効果的です。ただし、小学生の場合、治療を希望するのは主に保護者です。子ども自身はこのレンズの意義を理解できていないことが多いので、眼科医が本人に効果や方法をわかりやすく説明することが大事です」

 使用にあたって注意したいのは角膜感染症だ。重症になると視機能に影響を及ぼすこともある。

「角膜感染症を防ぐために重要なのは、レンズの適切なケアと定期的な受診。保護者が責任をもって管理する必要があります」(吉野医師)

 トラブルを防ぐためにも、治療はオルソケラトロジーの処方などに関する講習を受けた眼科専門医のもとで受けたい。

 自費診療のため、費用は病院によって異なり、初期費用は両目で10万~25万円程度かかる。定期健診やレンズ交換時(レンズの寿命は1~2年)にも費用が発生する。

 ほかに進行予防の方法として普及しているのが「低濃度アトロピン点眼」だ。1日1回点眼する方法で、オルソケラトロジーとの併用で効果が高まると言われている。世界的にはさらに予防効果が高い方法の試験も進行中で、注目が集まっている。

(文・中寺暁子)

※週刊朝日2022年12月9日号より

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