ラジオDJとして25年、第一線で活躍し続ける秀島史香さんの新刊『なぜか聴きたくなる人の話し方』からの連載。最終回の今回は、大切な人との別れ際に、温かい余韻を残す言葉をご紹介します。
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■「うまく締めた!」にこだわらない
「終わりよければすべてよし」という言葉がありますが、「また会いたいな」と思わせる人は、別れ際に美しい残像のような、残り香のような印象を残します。そんな人とお会いできたときは、その後も、なんとも言えないやさしい気持ちに包まれます。
番組やコーナーの締め方もそうありたいもの。「この番組をまた聞きたい」と感じてもらえるよう、とくに意識して言葉を選んでいます。そして、番組でお迎えしたゲストにも「来てよかったな」「この人とまた話したい」と感じてもらえたら、その人が残してくれたあたたかい空気は番組を通して伝わります。そのために、別れ際に「何を言うか」はとても大切。
理想では、最後にお互いひと笑いして、「ありがとうございました!」で終わりたいところですが、そこにとらわれすぎてしまうのも危険です。「最後にもうひとつヤマ場を作らなきゃ!」と強く思うと不必要に話を引き延ばしてグダグダになり、締まらなくなってしまうんですね。
私も以前は、ディレクターから「そろそろ締めるのかなと思ったら、また話に戻っちゃって間延びしてた」「ここ!ってところでスッと終わったほうがすっきりするよ」とたびたび指摘されていました。
さらにゲストコーナーの最後に陥りがちなのが、「今日の話のまとめ」をしようとして失敗するパターンです。
忘れてはいけないのが、ゲストがそのときにしてくれた話がすべて、だということ。時間をかけて言葉を選びながら話してくれた内容なのに、本人ではない私が短くまとめようとしても、うまくいきません。中途半端になったり、端折りすぎて違う意味になってしまったり、解釈を間違えていたり……。
新人時代にやらかしたこういった失敗はいずれも、自分が「いい仕事をした!」と思いたいための独りよがりの言動。思い出すたびに冷や汗が……。