「用事があってたまたま烏魯木斉路に行ったようです。そのとき、急に烏魯木斉路が封鎖された感じでした」

抗議デモがあった上海市内の通り「烏魯木斉路」
抗議デモがあった上海市内の通り「烏魯木斉路」

 この日は未明にも烏魯木斉路で抗議活動が起きている。他にも北京市内や、前日の江蘇省南京市での学生らによる集会など、それまでに中国の複数の都市で市民らが声を上げていた。

 中国政府はこれまで、そうした抗議活動が起きると、欧米など外国人らが企てたとの“論”を展開してきた。今回、拘束されたとみられるZさんの友人は中国人だが、欧米人が拘束されたらしいという話も入ってきたという。

「烏魯木斉路には欧米人が多く住んでいます。当局は警戒したんだと思います」(Zさん)

 今回、烏魯木斉路で抗議デモが起きたことについてZさんは、

「火災で犠牲者が出たのがウルムチだったことから、同じ名前の通りであるこの場所での抗議につながったようです」

 と話した。

 こうした各地での動きを受け、政府は「ゼロコロナ」緩和の動きを見せ始めた。自治体によっては、大規模商業施設の営業再開、ロックダウンや外食禁止の解除などの動きがある。

中国北京市の中心部では、零下近い気温と寒風が吹きすさぶ中、PCR検査のために200人以上が並んでいた=2022年12月3日
中国北京市の中心部では、零下近い気温と寒風が吹きすさぶ中、PCR検査のために200人以上が並んでいた=2022年12月3日

 ただ、北京市などは12月に入っても、多くの警察車両が出て警官を動員するなど、厳戒態勢が続いている。

(下川裕治)

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下川裕治

下川裕治

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(隔週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(隔週)、「タビノート」(毎月)など

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