中国で「ゼロコロナ政策」に対するデモなどの抗議活動が各地で広がり、政府は緩和策を検討し始めた。とはいえ、北京市や上海市の抗議現場には警官の姿もあり、現在も緊迫した状況にあるという。新疆ウイグル地区ウルムチで起きた火災に端を発する上海市での抗議デモ。混乱を目の当たりにした知人に、現地の様子を聞いた。
「友人との連絡がとれなくなったんです。どうも拘束されているらしい」
上海市浦東新区に住むZさんから連絡があったのは11月下旬。
その日は、上海市内の「烏魯木斉路(うるむちろ)」という通りに多くの人が集まり、習近平政権の「ゼロコロナ政策」に対する抗議活動のデモが起きていた。
デモの発端の一つは、新疆ウイグル自治区ウルムチ市で11月24日に起きた火災だった。アパートで10人が犠牲になった。
今年の春、2カ月に及ぶロックダウンを経験したZさんによると、住んでいたマンションは柵で覆われて封鎖され、一歩も外に出ることはできなかったという。Zさんが当時を振り返る。
「住民同士で『もしマンションで火事が起きたら、どうやって逃げるんだろう』という会話をしていました。今回のウルムチの火災でも、柵に阻まれて避難できなかったり、消火活動を遅らせたりしたのかもしれないと思いました」
上海市内での抗議デモは、そうした厳しいコロナ対策に対するたまった不満や怒りが、犠牲者への追悼と相まって爆発したようだ。
Zさんの話では、少し前から上海市の規制が強まっていたという。
公共施設に入るには、72時間以内のPCR検査の陰性証明が必要だったが、それが48時間以内になり、市外から入ってきた人は5日間、飲食店やスーパー、ショッピングモールなどに入ることができなくなった。
そして、抗議デモがあった27日に一気に緊張が高まったのだという。その日、拘束されたとみられるZさんの友人は、抗議デモには参加していないという。