「レーシックは、眼科専門医ではない医師が手術をしてトラブルが起きるというケースがありました。ICLはその反省をふまえ、『ICL認定医』の資格をもたなければ手術ができないシステムがつくられています」
認定医になるには、講習を受け、指導医立ち会いのもと手術をおこなう必要がある。
「ICLの手術は、人工のレンズを挿入する白内障手術と似ていて、特に難しいわけではありません。技術が必要なのは、術前の検査によってその人に合ったレンズのサイズや度数を適切に判断することです」(神谷医師)
レンズはオーダーメイドだが、サイズが小さすぎると白内障、大きすぎると眼圧が上昇する合併症が起こりやすくなる。レンズ挿入後に摘出術をするケースは1%程度あり、その多くはサイズ不適合だ。
ICLを受けられないケースもある。角膜から水晶体までの距離(前房深度)が短い(2・8ミリ未満)場合だ。この場合はレーシックを検討する。
術後の見え方に違いはあるのか。
「レーシックはレーザーで削った際に角膜がわずかに凸凹して見え方の質が低下することがあります。ICLはそうしたことがなく、目の表面から離れた部位に埋め込むので、目の乾燥や異物感もありません」(同)
どちらも自費診療となり、レーシックは両目で30万~45万円、ICLは60万~100万円かかる。
「手術の条件に当てはまるかどうかを正しく判断できれば、レーシックもICLも安全性、有効性の高い手術です。しかし手術を受ける以上、リスクはゼロではありません。医師とよく相談して、慎重に検討することが大事です」(同)
(文・中寺暁子)
※週刊朝日2022年12月23日号より