福岡市うさぎ愛護センターが保護したウサギ(画像=水上さん提供)
福岡市うさぎ愛護センターが保護したウサギ(画像=水上さん提供)

 ウサギを飼うなら外に連れ出して散歩したいと思う人もいるだろう。これは愛好家らの間で「うさんぽ」と呼ばれているが、実は、ウサギはストレスにとても弱く、必ずしも散歩を喜ぶわけではないという。

「屋外では騒音などの刺激を受けたり、カラスがいたりと、逆にストレスを与えてしまう可能性が高いと思います」(水上さん)

 また、いっぱいいた方がかわいいから、1匹じゃかわいそうだから、などと安易に数匹を飼ってはいけない。

 ウサギの妊娠期間は1カ月程度と短く、一度に5~6匹ほどの赤ちゃんを生むこともある。さらに、何匹か生まれたら、きょうだいでも親子間でも交尾して赤ちゃんをつくるため、繁殖能力がとても高い。2匹が200匹に増えてしまった神奈川県の夫婦のように、取り返しのつかない事態を招きかねない。

 この他、ケガをしやすいことを知らず、無理やり抱っこして落として骨折してしまったケース。基本はかみつかないのだが、ウサギの性格を知らず気づかないうちに怖い思いをさせてしまった結果、手などにかみつくようになることもあるという。アレルギーについても飼う前に検査を受けるなど、検討が必要だ。

福岡市うさぎ愛護センターが保護したウサギ(画像=水上さん提供)
福岡市うさぎ愛護センターが保護したウサギ(画像=水上さん提供)

 水上さんが保護した直後のウサギの中には、手を近づけるとびくっと後ずさりしたり、おびえるようなしぐさをするウサギもいるそう。

「人に対して、怖さや不信感のようなものを感じているのだと思います」(水上さん)

 余談だが「ウサギはさみしいと死んでしまう」という俗説は、ただの迷信だそうだ。

 もし飼いたいと思うなら、まずはウサギをよく知ることから始めたい。(AERA dot.編集部・國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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