福岡市うさぎ愛護センターが保護したウサギ(画像=水上さん提供)
福岡市うさぎ愛護センターが保護したウサギ(画像=水上さん提供)

 住宅街に段ボールが置いてあって、通りがかった人が開けたらウサギがいて店にやってきたケースや、駐車場にウサギがポツンといて発見者が連絡してきたこともあった。

 飼えなくなった側の事情もさまざまだ。

 飼育放棄の理由としては、「世話が大変」「かみつかれた」などという勝手なケースも散見されるが、特に目立つのがアレルギーだという。ウサギの毛やふけなどが原因で、皮膚や目のかゆみ、くしゃみや鼻水などの症状が出て、一緒に暮らせなくなってしまうというのだ。

 立ち上げから5カ月で約20匹を保護したが、現在も水上さんのもとには保護してほしいという相談が寄せられているという。

 水上さんは「来年が『卯年』ということもあり、家族でウサギ飼いたいねって話になったからと、里親を希望される方もいらっしゃって、とてもありがたいです」と語る。ウサギは確かにかわいい。あのモフっとした生き物が家にいたらたまらないと思う人もたくさんいるだろう。

福岡市うさぎ愛護センターが保護したウサギ(画像=水上さん提供)
福岡市うさぎ愛護センターが保護したウサギ(画像=水上さん提供)

 一方で、増えつつあるのは飼育放棄や飼育崩壊だ。

 その根っこには、ウサギという動物への理解不足と「簡単に飼えそうだ」という誤解がある。

 水上さんによると、人間と同じく、ウサギも個々によって性格は違うが、基本的には人懐っこくて、かまってほしい性格だそう。

「その中に甘えっ子ちゃんと、ちょっとツンデレな子がいるイメージです。イヌやネコのようにほえたり鳴いたりしないので意思表示が分かりづらいのですが、一緒に過ごしていると、甘えたいときはおでこをぐいぐい押し付けてきたり、ウサギの気持ちがしぐさで分かるようになります」

 イヌやネコとは違う、ウサギならではの注意点もある。例えば、ウサギは抱っこが苦手な子が多い。

「捕食される側の弱い動物ですので、持ち上げられて宙に浮くことを嫌がります。『抱っこしてヨシヨシしたかったのに』と、飼った後に残念がる方もいらっしゃいます」(水上さん)

  温度管理に手間がかかることも、知っておいた方がいい。

 ウサギは温度変化に弱いため、基本は屋内で飼うことになる。適した気温は18~23度と言われており、それを保つにはエアコンは必須。同じ部屋で過ごすなら、ウサギに合わせた温度管理が必要になるし、住む場所によっては、飼い主が出かけている間もエアコンをつけておかねばならなくなる。

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「さみしいと死んでしまう」は俗説