夕方日が沈んでまだ空にほんのり明るさが残るころ、その明るさに負けじと南西の空の低い所に宵の明星・金星が輝いています。美しい名前で呼ばれていますが、正体はあまりにも過酷な環境にある星です。

図は札幌の夕方午後5時頃の様子です。今頃の日の入りの時間は、札幌で午後4時20分頃です。低い空にあるためすぐに沈んでしまいますが、北に位置する北海道では暗くなるのが早いため、本州に比べると少し長い間眺めることができます。
金星はビーナスとかアフロディーテなどの美の女神の名で呼ばれたり、清少納言の枕草子にも「ゆふづつ」として登場します。しかし実際の金星は優雅なものではなく、生き物が生きていける環境ではありません。

猛烈な温室効果の星

金星は非常に分厚い大気に覆われており、地表付近での気圧は90気圧に達します。これは深さ900mの深海に相当しますが、この深さまで潜れるのは特殊な潜水艇の他はありません。潜水艦でも無理です。
そしてこの大気のほとんど(約96%)が二酸化炭素で占められています(地球は0.04%)。太陽からの熱が大気中に溜め込まれるこの猛烈な温室効果により、地表付近の温度は約460度近くに達しています。鉛など、一部の金属でさえもとけてしまうほどの高温です。

様々な取組。私たちに出来ることは?

地球環境も温暖化が進んでいるなか、世界的な対策会議(パリ協定)や、また日本でもウォームビズなどの様々な取組が行われています。北海道では、真夏よりも寒さが厳しくなるこれからの時期に、暖房などエネルギーを大量に消費します。使わない部屋の電気を消す、室内の設定温度を少し下げる、またなるべく公共交通機関を使うなど、簡単な所から始めて見ましょう。
輝く金星を眺めながら、あらためて地球にやさしい暮らし方というものを考えてみるのはいかがでしょう。
北海道では、最近雪の降る日が多く、夕方には足元から寒さを感じる季節となってきました。屋外で金星を眺める際は、凍結した足元にも注意して下さいね。