男性は自身の気持ちについて、

「マッサージを受けること、触っていただけることを、女性のほうからしてくださったことがうれしくて。私は原告をもう、一人の女性として見てしまっていました。誰でも良かったわけではなく、あなたでなければならなかったと話しました」

 と語った。

 一方、女性は、5月8日は、ケアを受けるために男性と面談し、その後男性の上半身のマッサージをした後に、男性に手を取られ、下着の中に手を入れさせられたといい、

「陰部に私の手を持っていき、触らせているんですが、できるだけ接触を避けるようにして、手のひらを返して抵抗しました」

 などと述べた。さらに、こう続けた。

「私が従わないと、非常にイライラして、ガバッと上半身を起こし、私の手を陰部に無理やり持っていって、力ずくで触らせて手を動かされるということがありました」

 22日についても、男性と会話をした後、男性の腕や肩のマッサージをし、その後、男性に手を取られ、陰部などを触らされたと訴えた。

 判決ではまず、男性の供述が第三者委員会や裁判などで変遷していることなどから、「全体として信用性が低い」と指摘。「これらの事情に鑑みれば、女性に対し、自身の陰部を触らせていないといった男性の供述は採用できない」とした。

 その上で、「男性が女性の手を取り、下着の中に手を入れさせ、陰部を触らせたと認めるのが相当」とし、女性の訴えを認めた。

 また男性が、一連の行為について「『暗黙の了解』があった」などと主張している点についても、女性が男性から胸を触られ、なめられているとき、女性はすすり泣きしいることが確認でき、8日にはすぐに弁護士らに助けを求めているなどの状況を踏まえると、「(暗黙の了解があったとは)認められない」として男性の主張を退けた。

 裁判後、女性の代理人の本田正男弁護士はこう話す。

「非常にオーソドックスで堅実な判決。勝訴と言っていいと思います。チャプレンのハラスメントと、同意がなかったということを認めてもらったのはありがたかった」

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