■湯浅京己(阪神)と水上由伸(西武)のシンデレラボーイぶり

 育成選手からの大出世と言えば、今をときめく千賀滉大(ソフトバンク→メッツ)が有名だが、「シンデレラボーイ」がまた出現した。まず湯浅。富山サンダーバーズから18年のドラフト6位で阪神入り。富山時代は伊藤智仁(現ヤクルトコーチ)から指導を受けた。最速156キロのストレートを武器に22年45ホールドポイントで「最優秀中継ぎ投手」。独立リーグ出身投手で初のタイトル獲得となった。水上は大学3年春まで外野手。20年の育成ドラフトで5位。シュートを武器に22年は35ホールドポイントで「最優秀中継ぎ投手」。西武はチーム防御率4年連続最下位が、一転1位に。優勝争いを演じる躍進投手陣の一翼を担った。

■球史を彩った大物選手の引退

 福留孝介(中日)はPL学園高卒業時、7球団から指名を受けた。社会人野球の日本生命を経てドラフト1位で中日に入団。首位打者2度、06年にMVP、日米通算2450安打。立浪和義に憧れ、根尾昂に憧れられた。糸井嘉男(阪神)は投手として日本ハムのドラフト自由枠で入団。野手に転向して「6年連続して打率3割・20盗塁・ゴールデングラブ賞」に輝いた。類いまれな身体能力と独特の発言から「超人」と呼ばれた。内川聖一(ヤクルト)は、横浜時代に右打者最高の打率.378を記録。ソフトバンクに移籍して、江藤慎一(中日ほか)に次ぐ史上2人目の「両リーグ首位打者」となった。内海哲也(西武)は炭谷銀仁朗(楽天)のFA人的補償で移籍。スーパー・クイックモーションと抜群の牽制力で、一塁走者はなかなか走れなかった。金子千尋(日本ハム)は多彩な変化球を武器にして、オリックス時代に2ケタ勝利を7度、通算130勝。14年には最多勝、最優秀防御率のタイトルを獲得。優勝チームではなかったが、MVPに選出された。

■注目すべき珍記録

 プロ3年目の岡林勇希(中日)が大ブレーク。開幕スタメンに起用され、3安打で猛打賞を記録するやレギュラーを奪取。0本塁打ながら161安打は「最多安打」。高卒3年目以内の最多安打は1994年のイチロー(オリックス)以来。8月7日にはバックホームで2度刺すなど、ゴールデングラブ賞にも選出された。加藤貴之(日本ハム)は、11与四球でシーズンを終えた。9イニング平均与四球が2個以内なら抜群のコントロールと言われるところ、規定投球回以上では史上1位の実に0.67個をマークした(8勝7敗)。加藤の与四球を見ること自体が貴重な体験なのかもしれない。

■番外編/日本人メジャー選手の大活躍

 ダルビッシュ有(パドレス)が30試合16勝8敗、197奪三振、防御率3.10と奮闘した。日米通算188勝。「名球会」入りが射程圏内となった。大谷翔平(エンゼルス)は、28試合15勝9敗、219奪三振、防御率2.33。ダルビッシュに勝るとも劣らない投手成績を残している。投手の「規定投球回」と打者の「規定打席」を同時にクリアしたメジャー初の選手となった。

 23年はどんな野球をみせてくれるのか、また興味は尽きない。(新條雅紀)

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