藤田亜矢子さん(撮影/米倉昭仁)
藤田亜矢子さん(撮影/米倉昭仁)

「もともとはエネルギー価格の高騰や部品の供給不足など、一時的な要因から端を発した物価高でしたが、もうすでに一過性の物価高ではない状況になってきた。そう判断したがゆえにFedはこれだけの利上げを進めたのでしょう」

 記録的なインフレを抑え込むため、Fedは22年6月以来、4回連続で0.75%という大幅な利上げを行った。

 一方、日銀は景気を支えるとして金融緩和を続ける方針を変えなかった。この日米の金融政策の違いから金利差が拡大。為替市場では円を売って金利が高く運用益が見込めるドル買いの動きが広まり、円安ドル高が進んだ。

 では、これから米国の金利はどう動くのか?

「アメリカの物価はすでにピークアウトしていますが、Fedはペースを落としながらも23年3月ごろまで利上げを続け、いったん停止した後、しばらく金利は5%台で高止まりすると予測しています。というのも、労働市場の引き締まりが緩和される兆しはまだ見えないからです」

■変わらない日米の金利差

 最近、Facebookを運営する米メタや米アマゾンなど、「ビッグテック」企業が雇用削減に踏み切ったことが話題となった。しかし、米国の労働市場全体を見ると人手不足が続き、企業は賃上げ競争を繰り広げている。それが物価に跳ね返り、インフレ収束を妨げている。

「金融引き締めによってアメリカ経済に減速感は出てきましたが、賃金上昇率はまだ5~6%もあります。この状態をFedは放置できませんから、明らかに労働市場が悪化するまで利下げには踏み切れないでしょう。われわれはそれを24年と予測しています」

 では、日本の金利についてはどうか?

「私は日銀が数カ月以内にYCC(イールド・カーブ・コントロール)を修正する可能性があると思っています。それは市場の圧力というよりも、『2%の物価上昇』が見通せる条件が揃ってきたからです(日銀は12月20日、10年国債金利の許容変動幅を0.5%程度に拡大すると発表した)」

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