けれども、それ以上に、母親の涙を目にするのが辛かった。
アメリカでは普段の支払いを小切手で行います。
小切手の期日に銀行にお金がないと、残高不足でペナルティを取られてしまいます。
僕の母はよく、夜中に一人で小切手帳を見ながら泣いていました。
きっと、銀行の残高が心配でたまらなかったのでしょう。
そういう母の姿を偶然目にした僕は、母を後ろからハグして、「ママ、大丈夫だよ」と精一杯慰めたこともありました。
こういう環境で育ったから、いつしか僕はお金のことを考えるのが大嫌いになってしまいました。
母から、「お小遣い帳をつけるように」と言われていたけれど、それも嫌で続きません。
そして僕は、こんなことを考えていました。
「お金のことを考えなくて済むには、どうすればいいだろう」
「どうしたらこの状況を抜け出せるだろう」
これが、僕がお金との付き合い方を考えるようになった原点です。
■ついにたどりついた「パックン式 お金の育て方」
そして、たどり着いたシステムは意外とシンプルなものです。
1.徹底的に節約する
2.一生懸命働く
3.投資でお金を増やす
節約に関しては、そもそも無駄遣いをする余裕がなかった僕は、自然と身についていました。
大人になって余裕が生まれた後も、月の支出が収入を超えたことは、これまで3回しかありません。
働くことももちろん大切です。
実は22歳で日本に来る前、僕は新聞配達のほかに、庶務、道路工事、重機の操縦、フォークリフトの運転手、家庭教師、データ入力、役者、厨房の手伝い、寮の掃除、トラックの運転手などなどのアルバイトをやってきました。
働いて得るお金は、収入の基本なので、それを増やすのも大事。
だから今でも「どうすれば、僕という『商品』の価値を高められるのか」ということを良く考えています。
そして、経済的な自由が手に入っても「好んで」仕事を続けることは、僕の理想でもあります。
最後に、投資。
僕が投資を始めたのは、日本に来て2年半ほど経ったときです。
それまでは投資をする余裕はなかったのですが、奨学金を完済してようやく投資を始められました。