「どうしてすでに被害を受けている女性や性的少数者の落ち度を探すのか。女性を責め立てて、女性の上に立ちたい優越意識を持つ男性を喜ばせるような、そうした男性をかばうようなことを平然と言っていることが信じられませんでした」
杉田氏は昨年8月の内閣改造で総務政務官に就任した。杉田氏の過去の寄稿や発言が問題視されるようになっても、岸田首相は当初、「職責を果たす能力を持った人物と判断した」とかばっていたが、内閣支持率が下がり続ける中でかばいきれなくなった。こうした岸田首相の姿勢を塩村氏はどう感じたのか。
「私が質問している間、総理はすごく苦々しい顔をしていました。私は広島県出身で、総理の地元でもあります。総理が杉田氏をかばった時は意外でしたが、心の底からかばっている雰囲気はありませんでした。今回、交代を決めたのが総理の本心だと思うので、そこは支持したいと思います」
政府・与党は1月23日に通常国会を召集する方針を固めている。国会の争点は、やはり「防衛増税」だろう。それに伴い、昨年末に萩生田光一政調会長は「明確な方向性が出た時には、いずれ国民のみなさまに、ご判断をいただく必要も当然ある」と、増税決定前に衆院解散・総選挙が必要だと述べた。岸田首相も民放の報道番組で、防衛費増税は2024年から27年の間とした上で、「スタートの時期はこれから決めるが、それまでに選挙がある」と、衆院議員の任期満了(25年10月)より前に増税する場合には、解散総選挙を行うことを示唆した。これに対して、塩村氏は疑義を呈する。
「増税をする時期が決まってから解散と言うが、そもそも増税する前に、その方向でいいかを国民に聞くのが筋だと思います。予算の方向性が決まった後では、国民の信を問うことにはならない。結局、今は野党が弱いので、最終的には政府・与党が何をしても通ると考えているのでしょう」
自民1強と多弱の野党という構造は長らく変わっていない。日本が危機的な状況にある今、与党と野党の間で駆け引きばかりしていてはダメだ、と塩村氏は言う。その一方で、野党の発信の仕方にも問題があると感じている。たとえば、昨年4月から始まった「不妊治療の保険適用」。前回の参院選でも、菅義偉前首相が「総理大臣の時にお約束した『不妊治療の保険適用』が始まりました」とアピールしたように、政府・与党が実現させた政策のように思われている。だが、実情は異なるという。