世界のどの航空会社も、日本が導入したVJWを無視しているのだろうか?

 成田空港に到着した。

「VJWのQRコードを準備して進んで下さい」という案内で、スマートフォンを手に通路を進む。その先に立っている職員に、VJWの青いトップ画面とQRコードを見せた。確認した職員からは「健康カード」と書かれた黄色い入国後の注意書きを手渡され、「それをもって進んでください」と言われた。

 そのまま進むと、入国審査のブースに出てしまった。QRコードを読みとる場面はなかった。

 怒りともあきれとも、なんとも言えない感情を抱えながらスマートフォンをしまおうとした際、その画面を見て驚いた。そこに出ているのは、1カ月前にサイパンから帰国する際につくったVJWの画面だった。

 QRコードのチェックはしないから、違う画面でもパスしてしまうのだ!

 たしかに、VJWの公式案内でも、「画面表示だけで検疫OK!」と表示されている。厚生労働省や、ウェブサイトを運営するデジタル庁に確認をとると、「画面表示でOKなら、QRコードを読み取ることはしていません」という回答。

 いよいよ、なんのためのVJWか? 現在、中国便に対しては厳しい制限を取るようになったが、他国からについてこれでは意味がないのでは? 水際対策になるのだろうか? 

 疑問は尽きない。

(下川裕治)

■しもかわ・ゆうじ 1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(毎週)、「たそがれ色のオデッセイ」(週)、「沖縄の離島旅」(毎月)。

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下川裕治

下川裕治

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(隔週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(隔週)、「タビノート」(毎月)など

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