Colabo代表・仁藤夢乃さん
Colabo代表・仁藤夢乃さん
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 作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は攻撃を受けているColaboと代表・仁藤夢乃さんについて。

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 若年女性支援団体Colaboに対する攻撃が続いている。ネット上で始まった攻撃は、シェルターや代表の住所を明かすような加害にも広がっている。今後、刑事告訴などもしていくとのことだが、Colaboが受けた被害は計り知れない。

 先日、Colaboを批判する中心に立ってきた男性が東京都に対して出した住民監査請求に対する結果が公表された。結論をいえば、21年の事業費について請求人の訴えが認められたものはほとんどなく、妥当性が疑われる内容については2月までに再調査を東京都に勧告し、内容によってはColaboに返金を求めるというものだった。とはいえ、女性たちを「タコ部屋」に押し込めている、生活保護のお金を取り上げているといったデマの影響はいまだに尾を引き、監査請求の結果が出た後でも、Colaboが税金を使った不正があったかのような声はSNS上に根深い。

 若年女性支援に関わる福祉団体が、ここまで激しい批判にさらされたことは前代未聞だろう。私自身、女性支援団体に取材したり、また実際に関わったりすることもあるが、現場は誰もがみな人生を削るように仕事をしている。凄絶な暴力の末に命からがら逃げてくるような女性たちを、文字通り命がけで守る現場に、「彼女たちは地獄を見ている」と思うこともある。そういう現場で働くソーシャルワーカーたちの声は、ほとんど聞かれることはない。プライバシー保護の観点もあるが、そもそも「声をあげる」余力すらないのが実態だろう。そういうなかでColaboという被害当事者が中心となってつくられた団体は、支援者の声を通した当事者の声ではなく、当事者そのものの声を社会に伝える重要な役割を担っている。

 6年前に代表の仁藤夢乃さんを長期にわたって取材したことがある。当時の取材ノートを振り返り、改めてColaboの存在意義の重さを感じている。

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仁藤さん自身が街をサバイブしてきた