日本にいたときは、主に電車移動だったため、必然的に歩く必要がありました。一方、日本を離れてからの生活は、車移動がメインです。運動する時間を意識して作らないと、WHOが推奨する運動量を満たすことは到底できません。そこで、週4回ほどのジムでの筋力トレーニングに加えて、ランニングやウォーキング、トレイルなども始めました。運動中はスマートウォッチを身につけ、運動時間や距離を測定し、表に記入して記録しています。食事内容や体重もその表に記入することで、健康管理に繋がっています。これはかかりつけの患者さんが実際にやっていた方法を真似たのですが、容易に可視化できる良い方法だと思います。
使用しているスマートウォッチは自分で購入した訳ではなく、友人から譲ってもらったものを使い始めたのですが、今更ながらとても便利であることを実感しています。自分の運動量が客観的にわかるからです。デンマークのコペンハーゲン大学のRasmus氏らがスマートウォッチを代表するデバイスと運動量について121の無作為化試験をまとめて解析したところ、どれだけからだを動かしたかを知らせてくれる携帯端末アプリや身に付けるデバイスの使用は、より多く歩くようになることやそこそこ~きつめの運動時間の増加と関連していたことが分かったといいます。私自身、スマートウォッチを使用し始めてから「より意識して」運動するようになった気がします。
コロナパンデミックをきっかけに幸いにも運動する習慣を得ることができたので、心と身体の健康を維持するためにも、コロナ感染予防のためにも、継続していきたいと思います。
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)