運動することが大の苦手だった私でしたが、毎日辛くない程度に継続したことで、ウォーキングの距離が少しずつ伸び、朝晩2キロずつ歩くことも苦ではなくなりました。身体を動かして汗をかくことがリフレッシュにつながったのだと思います。落ち込むことが減り、気持ちも前向きになったように感じます。
運動が身体や心の健康維持に繋がることを自分自身が実感したことに加え、運動量が足りている人の新型コロナウイルス感染は重症化し難かったことや、運動習慣がある人の新型コロナウイルス感染症はより軽症で済むことなど、運動が私たちのコロナ感染予防にもたらす効果が多数報告されているということもあり、かかりつけの患者さんには「感染対策も大事ですが、運動をすることも重要ですよ」と伝えるようにしていました。
興味深いことに、一次診療時の後押しによる身体活動への介入は中等度から高強度の身体活動を増やすのに効果的であることが指摘されています。イギリスのラフバラー大学のVictoria氏らによると、さまざまな追跡調査 (3カ月から60カ月) を伴う 46 件のランダム化比較試験を解析した結果、一次診療時の後押しで患者さんのほどほどからきつめの運動時間が1週間あたり平均14分も増えることがわかったといいます。
「運動しなきゃとは思うけれど、なかなか続かない」「運動は昔から苦手なので……」そうおっしゃる患者さんには、例えばエレベーターではなく階段を使う、家の中でテレビを見ながらスクワットしてみるなど、日常生活の中で意識して身体を動かすことから始めることを提案していました。
ところで、運動と一言で言っても種目や強度は様々です。世界保健機関(WHO)は、成人(18歳から64 歳)に対しWHOは有酸素運動を強度がそこそこなら週に150-300分、強度がきつめなら週に75-150分(またはそれらの量に相当する、そこそこときつめの運動の組み合わせ)と、筋力トレーニングを週に2日以上することを推奨しています。しかしながら、これらの推奨されている運動量をこなしている成人はわずか17%にしかすぎないと報告されています。