一方、効く薬の登場によって、かつておこなわれていたサイトカイン療法(免疫細胞や抗体を活性化させることでがんをたたく治療)は、今はほとんど実施されなくなったそうだ。また課題もある。
「腎がんの薬物療法において一番の問題は“どんながんのタイプに、どの薬を使うか”ということが明確でない点。薬剤ごとに効果を予測する因子が存在しないことです。見方を変えると、今はいろいろな薬を選べる状態です。だからこそ、医療者は治療の選択肢を患者さんに複数提示すべきですし、患者さんもご自身の考え方や価値観で治療法を選んでいくことが大切だと思っています」
(文・山内リカ)
【取材した医師】
国立がん研究センター東病院腫瘍内科医長 松原伸晃医師