芙蓉園の「鳳凰蛋(ほうおうたん)」
京都中華の基礎をつくった高氏が、「支那料理ハマムラ」から独立した後、2軒目に開いた『第一樓』で料理長を務めた弟子が1955年に創業。現在は、二代目夫婦が暖簾を守り、広東料理を軸に季節の素材を取り入れた料理を提供している。
「鳳凰蛋」と呼ばれる名物の玉子料理は、開店当時に慌ただしいランチタイムの時短メニューとして初代が考案したものだという。毎日丁寧にとる鶏ガラスープと玉子で鶏肉と玉ねぎをとじた一品は、シンプルながらやさしい甘さととろとろ食感がクセになる味だ。
高氏がこの世を去ったのは1979年。すでに四十余年が経つが、その味はいまも、多くの人々に愛されている。
(構成 ライター 岡田あさみ/生活・文化編集部)