ツイッターでは漫画の医学的考察など「面白ネタ」も織り交ぜ、幅広い層にアプローチする
ツイッターでは漫画の医学的考察など「面白ネタ」も織り交ぜ、幅広い層にアプローチする

 フリーランスになって感じた一番のメリットは、自由な時間が増えたこと。そこで始めたのが、ブログやツイッターによる情報発信だった。

「まず始めたのが『フリドク』というブログ。転職やフリー転向を考える医師に向けて、退職時も含めた注意点や実際の働き方を伝えたいと思い、僕自身の失敗談や困ったことをありのままに紹介しています」

■空いた時間でみつけた新たなライフワーク

 今では約10万人のフォロワーがついたツイッターは、当初は「フリドク」の宣伝がてら何げなく始めたものだ。だがフォロワー増加と共に、万人に役立つ医療情報の発信に転じていった。

「フォロワーが数千人になったころ、こんなに見てくれる人がいるなら世の中の役に立つ医療の話をしようと思ったんです。そこで、日常に潜む事故やけがを予防する方法、命を救う応急処置の方法などを紹介しています。ツイッターで他のフリーランスやSNSで発信力を持つ医師とのつながりも生まれ、WEB連載や書籍執筆などの依頼もいただけました。多彩な仕事で自分の世界が広がったと感じています」

 数年前にはダイビングに初挑戦し、その魅力にとりつかれたというおると医師。今ではプロダイバーの資格を取得し、整形外科医の見識を生かして、身体が不自由な人のダイビングをサポートする活動にも力を入れている。

「運動機能に障がいがあっても、美しい海の世界を堪能してほしい。一緒に潜った方が『自分にダイビングができるなんて』と喜ぶ顔を見ると、もっと普及に励もうと力が湧いてきます」

バリアフリーダイビングの普及に努めたいと話すおると医師。SNSを通じて、自ら撮った美しい海中世界を紹介している。写真は沖縄県・宮古島のもの(本人提供写真)
バリアフリーダイビングの普及に努めたいと話すおると医師。SNSを通じて、自ら撮った美しい海中世界を紹介している。写真は沖縄県・宮古島のもの(本人提供写真)

 フリーランスになったことで、自分らしい新たな活躍の場を見つけたおると医師。同じ働き方を志す後進に向けては、こんなアドバイスを送る。

「ただ漠然とではなく、自分の将来にとって意味があると思えるなら、フリーランスは有効な選択肢になると思います。中にはお金と時間だけに着目し『楽して稼げる』という発信をしている人もいますが、これに飛びついてフリー転向すると、まず失敗します。医師として働く意味は、患者を助けるというシンプルなこと。決して初心を忘れてはいけません」

(林 菜穂子)

※週刊朝日ムック『医者と医学部がわかる 2023』より

おると医師/整形外科医。30代。その他詳細なプロフィルは非公開。SNSやブログなどで情報発信しながら、フリーランス医師として働く。Twitter https://twitter.com/Ortho_FL 、ブログ「フリドク」 https://free-doc.hatenablog.com/

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