野球は記録のスポーツである。その記録のどこがどうすごいのか。背景を知っていれば、なお興味は増幅する。記録にまつわるエピソードと2023年シーズンに達成されそうな記録を紹介しよう。
【パ・リーグ】
●平野佳寿(オリックス)日米通算250セーブ
達成者は過去に3人。岩瀬仁紀(中日)の407セーブ、佐々木主浩(横浜ほか)の日米通算381セーブ、高津臣吾(ヤクルトほか)の日米通算313セーブ。岩瀬が10年に達成以来、実に12年間も達成者が現れていない。藤川球児(阪神ほか)は昨年末、日米通算245セーブで名球会に特例入会を果たした。平野は21年に29セーブ、22年に28セーブなので、残り29セーブは十分達成可能な数字だが、気になるのは平野が今季39歳ということ。まず、チーム内のライバルである阿部翔太、ワゲスパックに勝って「ストッパー」のポジションに座ることが必要だ。
●和田毅(ソフトバンク)42歳シーズン2ケタ勝利
「松坂(大輔)世代」の最後の一人となった和田。42歳以上のシーズンでは過去、05年に工藤公康(巨人)が11勝(42歳)、08年に山本昌(中日)が11勝(43歳)を挙げている。松坂世代の投手では松坂本人(西武ほか)が日米通算170勝、藤川球児(阪神ほか)が日米通算245セーブ。参考までに打者では村田修一(横浜ほか)が通算1865安打。和田自身は22年までに日米通算155勝。この年齢になって22年に自身最速の149キロをマークしているだけに、150キロ超えも楽しみである。
●中村剛也(西武)通算2000三振
中村は通算1954試合、1698安打、454本塁打、1990三振を記録。「大台」まで残り10となり「カウントダウン」に入った。過去の達成者は一人もいない。通算2位は清原和博(西武ほか)の1955三振。3位は谷繁元信(中日ほか)の1838三振。清原が「僕はホームランを525本打っているけど、プロ野球選手で一番三振していた。中村に抜かれると、野球少年に言える唯一の自慢がなくなる」と話したエピソードは有名だ。