活躍の裏には、もちろん山里本人の努力もある。
「マイナビニュース」(19年6月26日配信)の記事では、「俺が俺が」ではなく、みんなで作り上げ、みんなが楽しかったって思えるものにするお手伝いができるようなMCを心がけていると話す。自分自身を「努力型の人間」だと言い、本を読みテレビを見るなど、日常の中で良いと思った言葉をメモし、ワード数を増やしているという。
また、「新R25」(19年4月12日配信)では、06年の「日本アカデミー賞」授賞式で会場を回すインタビュアーを担当するも準備不足で大失敗し、「あいつにMCを任せてはいけない」という空気になったと後悔も明かしている。それ以降、出演者の事前リサーチをしっかり行い、「その人はどんな話ができるのか」「どんなパスを渡せばいいのか」などを、数多くイメージしておくように心がけているという。大きな挫折を経験した後に、同じ失敗を繰り返さない努力をしてきたことが、現在の安定感あるMCぶりにつながっているのかもしれない。
■相方との陰湿エピソードを披露
一方で結婚後は妻・蒼井優とのノロケ話を披露することも多く、「毒がなくなった」という声もちらほら。
「たしかに家族ネタに偏りすぎると、芸人らしさが薄れてしまいますが、山里の“陰湿さ”はまだまだ健在だと思います。1月放送の『超ホンマでっか!?TV』の『根に持つ芸人SP』に出演した際も、卑屈さあふれるエピソードが満載。相方のしずちゃんが注目された時期は、どうすれば彼女が売れなくなるかという考えが湧き上がり、台本でしずちゃんがしゃべるところを全て自分が覚えて先にしゃべっていたとか。一時期、コンビ仲が悪かったのは有名な話ですが、今でも隠さず話すところは、やはり芸人魂が残っているからでは」(前出のテレビ情報誌の編集者)
元「週刊SPA!」芸能デスクの田辺健二氏は、山里についてこう語る。
「千葉県出身の彼が大阪NSCに入学し、関西から芸人を目指したことからもうかがえるように、山里さんは芸人界随一の戦略家であり初志貫徹の人。04年に『M-1グランプリ』で準優勝して大ブレークし、全国区の知名度を獲得した後も、ほぼ毎日反省ノートをしたため、そこでツッコミのフレーズなどに磨きをかけ続けた努力家でもあります。驚異的なのは、M-1でブレークする前から、当時のマネジャーと『50歳までのプラン』を綿密に立てていて、その中に『政治や経済を語るポジション』という目標もあったそうです。また、『女性にモテたい』という動機で芸人になるも、売れるまで彼女をつくろうとはせず、最終的には大女優と結婚したということからも、彼がいかに戦略的だったかがわかると思います。2期先輩の麒麟・川島明さんが次世代のMC芸人として頭角を現していますが、山里さんはMC芸人として天下を取るために、川島さんをつぶすぐらいの勢いで新番組に臨むのではないでしょうか」
4月から自身の半生を題材にしたドラマもスタートする山里。お笑い界イチの戦略家の成功はまだまだ続きそうだ。
(丸山ひろし)