冒頭で記したように、尿酸は肝臓で作られる代謝物だ。尿酸値を上げる要因の一つとして「プリン体」が知られているため、これを多く含むお酒や食べ物に気をつけている人もいるだろう。
だが久留医師によると「そもそもアルコール自体に尿酸値を上げる働きがあり、プリン体がゼロのお酒でも尿酸は作られる」という。また、一部の魚介類や内臓肉などのプリン体が多い食品を避ければいいかというと、「日頃食べられている一般的な食品の大半がプリン体を含んでいるため、食べすぎればプリン体の『総摂取量』が多くなってしまう」(久留医師)
そのため先に記したようにメタボによる高尿酸血症は増えていて、法律上酒が飲めない20歳未満の患者もいるという。
「特に男性は10代から肥満になっている場合も多く、年齢に関係なく注意が必要です。肥満は他の病気のリスクにもなる点も十分に認識しておいてください」(同)
なお、遺伝的に尿酸値が上がりやすい体質もある。そこに生活習慣の乱れが重なると発症リスクは高まるため、家族に高尿酸血症の患者がいる人はいっそう注意したい。
女性も更年期以降は女性ホルモンの分泌が減って尿酸値が上がりやすくなるため、気を付ける必要が出てくる。
高尿酸血症は多くの場合、健診などで尿酸値が高いと指摘されたり(7・0ミリグラム/dL以上)、痛風の発作が出たりして発覚する。両国東口クリニック理事長の大山博司医師は次のように説明する。
「尿酸値にもよりますが、高尿酸血症が続くと5年以内に痛風になると考えられています」
恐ろしいのは「痛み」だけではない。痛風を繰り返していると、関節そのものが変形していく。
■最大の問題は腎臓機能の低下
血管への影響も深刻だ。尿酸の結晶は針のような形をしているため、血管内は徐々に傷つけられていく。
「もっとも大きな問題は腎臓の機能低下です。慢性腎臓病になると、人工透析が必要になり、日常生活に大きな影響が出てしまいます。痛風後に心血管疾患(急性心筋梗塞と脳卒中)のリスクが高くなるという調査結果もあります」(大山医師)