宮崎 バブルで浮かれて、恋愛とかたくさん遊んでるイメージでした。
荒川 そうですね。80年代は恋愛至上主義の時代でした。トレンディードラマが人気で、クリスマスにデートするのも、80年代にできた習慣ですね。
宮崎 そうなんですか? 驚きです。クリスマスにデートしないと「罪」みたいな雰囲気ができたのもそんなに昔ではないんですね。
荒川 クリスマスデートは80年にユーミンの歌をきっかけに一部で流行し、83年に女性誌「anan」で特集が組まれたことで、全国に広まったという説が有力です。クリスマスにデートし、赤坂プリンスホテル(2007年改称、11年閉業)に泊まり、女性はティファニーのアクセサリーをもらうという作法ができました。
他方で、この時代は、夫婦共働きで子どもをあえて持たない生活を選ぶ「DINKs」(ディンクス)という言葉もはやりました。恋愛もいいよね、というのと同時に、子どもを持たなくてもいいよね、フリーターでもいいよね、と価値観が多様化していました。
そこでバブルがはじけて、経済状況が悪化。若者が就職できなくなって、結婚する人も一気に減りました。
宮崎 社会的に浮かれた気分がないと、結婚は難しくなりますよね。いまや浮かれていると世間から叩かれる雰囲気です。
- ――荒川氏が指摘するように、生涯未婚率は1970年に女性3.3%、男性1.7%だったのが、90年に女性4.3%、男性5.6%と上昇し、2020年には女性17.8%、男性28.3%と高まっている。数字が裏付けているが、その原因は何か。生活に近い、もっとミクロな視点で「婚姻数の減少」という現象を考えてもらった。
宮崎 未婚率の高まりは、お見合いがなくなった影響もありますよね?
荒川 お見合いもそうですが、職場結婚が減った影響が大きいと見ています。かつては職場結婚が普通で、おせっかいおばさんやおじさんがいて、会社が一つの村のようでした。上司は部下の仲人をするのがひとつの誉れでもありましたからね。