松川るい参院議員(2022年1月、参院議院運営委員会で)
松川るい参院議員(2022年1月、参院議院運営委員会で)
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 日本の少子化が急激に進むなか、岸田文雄首相が掲げる「異次元の少子化対策」を巡る議論が国会で熱を帯びている。その背景の一つが、昨年の「出生数80万人割れ」の衝撃だ。80万人割れは2033年と推定されていたが、実際は11年も早かった。少子化が進めば、内需中心の日本経済に深刻な影響を与えるだけでなく、社会保障制度を維持するのも困難になる。少子化問題への取り組みについて、昨年10月に施行された「産後パパ育休」(出生時育児休業)制度の創設に深くかかわった自民党女性局長・松川るい参院議員に聞いた。

【写真】インタビューに答える松川るい議員

※インタビュー前編<<出生数80万人割れの衝撃 自民党女性局長・松川るい「児童手当の年収1200万円所得制限は引き上げるべき」>>から続く

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 三つ目の柱は、育児休業制度の強化や働き方改革だ。

松川局長は19年、「男性の育休義務化議連」を立ち上げ、そこでの提言をもとに「産後パパ育休」制度が創設された。

「30年以上も前にできた育児休業制度は世界的に見ても、北欧以上によくできた制度なんですけれど、いまだに男性の育児休業取得率は13.97%(21年度)にとどまっています」

 そんな背景をもとにつくられた「産後パパ育休」は、「育児休業」とは別に男性だけが使える追加的制度で、子どもが生まれた後、8週間以内に4週間まで取得できる。

「1週間と3週間とか、分割して育休がとれます。しかも、一定時間内であれば仕事をしながらとってもいいんです。あらかじめ職場と打ち合わせて、月水の午後だけ働きますとか、6時以降はオンラインでだけ働きます、ということが可能です。職場も男性に育休をとらせてあげやすいし、また、働いている時間については給与も発生しますから、育児休業給付金と合わせれば、育休取得前の給与とほぼ変わらない金額を受け取ることも可能です」

 事業主に対しては、社員から妊娠・出産の申し出があった場合、休業取得の意向確認を行うことも義務化された。

「事業主側に意向確認義務を課したので、『男のくせに育休をとるのか』と言われてとりにくいという問題がなくなります。なので、産後パパ育休の取得者は増えていくと思います。それによって、より公平な家事育児分担が実現して女性の負担が減り、少子化対策に結びついていくはずです」

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