安倍晋三首相 (c)朝日新聞社
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 新型コロナウイルスに対する政府対応が後手に回り、国際的にも批判の声が上がっている。日本の問題点はどこにあるのか。AERA2020年3月9日号では専門家に取材した。

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 感染拡大に歯止めがかからない中、個人での対策とともに、今後さらに重要になってくるのが国の政策だ。岡山大学大学院の津田敏秀教授(環境疫学)は、政府が取るべき施策は転換点を迎えているとみる。

「保健政策は、これまでの封じ込めや水際対策から、今後の流行拡大を前提に、重症化や死亡を予防するため高リスクの人たちへの感染を予防する努力へと重点を移すことになります」

 1996年の腸管出血性大腸菌O157、2003年のSARS、09年の新型インフルエンザを経る中で、国内でも集団感染への対応や情報公開は進歩してきた。

 だが今回、政府の対応は後手後手に回っている印象が強い。対応にあたった厚生労働省職員への感染を許したり、学校で感染者が出た場合の対応が事前に定められていなかったため教育現場の混乱を招いたり。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」をめぐる対応では国際的な批判も受けた。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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