注意すべきは家庭内での感染だ。今回の流行は、クルーズ船や屋形船などの密室のほか、家庭内感染が目立つ。自宅を安全な場所にすることが大事なポイントなのだ。
ここでも基本となる対策は手洗いだ。帰宅したら、テレビのリモコンに触れる前に、まず手を洗うことを習慣づけよう。小中学生の子どもにも徹底させることが、家庭内感染を防ぐのには重要だ。
前出の和田教授は言う。
「既に相当の規模で流行が拡大している可能性を否定できませんが、大事なのは感染予防対策をあきらめない、という人々の意識です。流行してしまっているから、もうどうしようもない、と多くの人があきらめてしまったとき、本当に手をつけられなくなってしまいます」
津田教授もこう話す。
「治療法の探索や検査キットの開発、ワクチン開発のために少しでも時間を稼ぐ必要があります。そのために今は、個人の心掛け次第で感染のピークを遅らせることができるという認識を共有するべきでしょう」
どれだけ注意していても、感染のリスクをゼロにすることはできない。もし自身や家族が感染した場合はどうすればいいのだろうか。
国は、軽症者には自宅待機を呼び掛けている。和田教授が懸念するのは、多くの人は軽症を無症状と同じことだと考えがちではないか、という点だ。
「感染者の半分ぐらいは無症状に近いようですが、3割ぐらいは38~39度の高熱が出て、人によってはインフルエンザよりもつらい状態になります」
発熱が続いた場合、直接病院で受診したい、というときは必ず事前に病院に電話をしてからにしよう。発熱の症状は突然現れる。体調が悪くなった後に、どこで受診できるかわからないということのないよう近所の内科医院の場所などは事前に把握しておいたほうがよい。
家族の1人が感染し自宅療養となった場合、できる限り自室から外に出ないようにしてもらうことが重要だ。タオルは必ず別々のものを使う。トイレも2カ所以上ある家は使用を分け、1カ所の場合は使用後の消毒を徹底しよう。風呂は、感染者に最後に入ってもらおう。