感染症の専門家の見解はどうか。岡山大学大学院の津田敏秀教授(環境疫学)は、2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や毎年の季節性インフルエンザが春から夏にかけて終息していることから、新型コロナウイルスも気温と湿度が上がれば終息に向かうという希望的な見方もあるとする一方で、感染者数がすでにSARSの10倍近くになり、死亡者数も3倍を超えていることなどを踏まえて、
「感染ルートがたどれなくなっていることから、終息は無理ではないかという見方も強くなっている。東京五輪開催への影響も真剣に考える段階に来ている」
国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生)もこんな予想を示す。
「南半球などにも感染が広がるリスクを見据えれば、SARSのときのような世界的な終息宣言は難しく、少なくとも数年は流行が続くと覚悟した方がいい。五輪の頃にピークが続いていれば、無観客での競技実施も選択せざるを得なくなる。これは政治決断になります」
イベントの中止が相次ぐ中、インターネットを使った「オンライン開催」という新しい動きも出始めている。
3月8日開催の名古屋ウィメンズマラソンはエリートの部のみとなり、一般の部は「オンラインマラソン」として開催されることが決まった。
実行委員会によると、各自が好きな場所で規定の距離を走り、専用のスマートフォンアプリで記録することで完走を証明する。人が密集することなく感染症のリスクを抑えることができる。完走したランナーには、同マラソンの完走賞の代名詞であるティファニーのオリジナルペンダントも贈られる。
事務局は「同様の取り組みは聞いたことがない」といい、「エントリーしてくださったランナーのみなさんの心情を考えて、代案を探り、提案させていただいた」という。ノウハウがなく、具体的な実施方法やルールを検討している最中で、3月2日までには登録方法など詳細を案内するという。
一般社団法人「at Will Work」は、2月20日に虎ノ門ヒルズ(東京都港区)で予定していた「働き方を考えるカンファレンス」に聴衆を入れず、ネットで生中継する「オンライン開催」に切り替えた。