秋篠宮ご夫妻は代替わり後、さらに公務が増えている(左) (c)朝日新聞社/ハリー王子とメーガン妃の「セミリタイア」宣言は、大きな波紋を呼んだ(右)(写真:gettyimages)
秋篠宮ご夫妻は代替わり後、さらに公務が増えている(左) (c)朝日新聞社/ハリー王子とメーガン妃の「セミリタイア」宣言は、大きな波紋を呼んだ(右)(写真:gettyimages)

 英王室ハリー王子夫妻は高位王族から退くことを宣言した。いわば、この「セミリタイア」は次男だからこそできる「自由さ」ともとれるが、日本の皇室ではどうか。AERA 2020年1月27日号では、秋篠宮さま流の「次男の役割」に徹する生き方に迫る。

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 日本の皇室に目を転じると、上皇さま(86)の次男である秋篠宮さま(54)はいま、自由どころか、大変な不自由の渦中にいる。妃である紀子さま(53)へのバッシングに始まった報道は、家族全体へと広がっている。なぜ過剰なまでに秋篠宮家が批判されるのだろう。考え出せば長くなるが、短く分析するなら、雅子さま(56)とあまりにも対照的な紀子さまの経歴が一つ、長男・悠仁さま(13)という皇位継承者が「次男の家で育つ」という複雑さが一つ、そこに加えて長女の眞子さま(28)の結婚問題があり、メディアの消費の対象になってしまっていると思う。

 だからと言って秋篠宮さまが「セミリタイア」するかというと、制度うんぬん以前に、しない方だと思う。「次男の役割」を皇室の中で果たし続ける。その自覚に満ちた方だと思うのだ。

 学習院高等科の教師だった小坂部元秀さんは、浩宮さま(当時。現天皇)の担任として皇太子ご夫妻(当時)と面談したエピソードを明かしている(文藝春秋03年11月号)。

 国語を教えていた小坂部さんが浩宮さまの作文について「個人の喜怒哀楽があまり出ていない」と言ったところ、美智子さまが「浩宮が長男ということで、私もいろいろと細かい点まで注意するようにしたため、のびのびしたところが多少不足するようになったのかもしれません。兄と比べて礼宮は次男ということで、逆にたづなをゆるめたようなところがあって、のびのびしすぎたようですけれど……」と語ったという。この言葉に小坂部さんは、「二人の立場に即した二様の対応をみせているということかもしれないとも思った」と書いている。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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