「全く別の視点になりますけれども、皇族の数が今後減るということについては、国費負担という点から見ますと、皇族の数が少ないというのは、私は決して悪いことではないというふうに思います」
18年の会見では大嘗祭への公費出費について、「身の丈にあった儀式にすることが本来の姿」とも語っていた。税金を使うことに敏感で、「国民あっての皇室」という認識が強いのだと理解している。だが岩井さんの理解は、さらに深い。この発言を「旧皇族の復籍の必要性は否定したと解釈できる」と書いているのだ。
「税金の観点から皇族が減ってもいい」を裏返せば、「皇統のために皇族を増やすのはよくない」ということだろう。岩井さんは、皇室の将来について「現実的で幅広な構えで向きあい、兄と話しあっていこうとの柔軟な姿勢を打ち出したのが今回の発言」とまとめていた。
縮小する皇室という現実を踏まえ、退位特例法は「女性宮家」などの「検討」を促している。だが、保守支持層を意識し、安倍政権はスルーしたままだ。とはいえ、どんな形であれ、いつかは検討せざるをえないはずだ。
ついては、ほぼ10年前に秋篠宮さまが「旧皇族の皇籍復帰」を否定したと読める発言をしていたこと、ぜひテイクノートしていただきたい。皇室の「次男」の貴重な意見なのだから。(コラムニスト・矢部万紀子)
※AERA 2020年1月27日号より抜粋