PFOSやPFOAよりも分子が小さく、活性炭による処理で吸着されにくいため、水道水に多く残留する可能性を指摘する専門家もいる。

 在日米軍は取材に対し、「16年以降は訓練で泡消火剤を使用していない」としているが、一部の消火剤には現在もPFHxSが含まれることを認め、任務に支障のない範囲で削減に努めている、と説明している。

 今回東京で検出された水質汚染は、横田基地が原因なのか。横田基地では10~17年に漏出したPFOSを含む泡消火剤の量が、少なくとも計3161リットルに上ることがわかっている。ただ、都は「地下水脈は複雑なため、横田基地が発生源とは判断できない」とする。

 一方で、基地内の汚染状況や泡消火剤の使用状況を明らかにするよう防衛省を通じて米軍に求めているが、回答は届いていないという。米軍は、米国内では基地内や周辺の水質を自らモニタリングし、PFOSやPFOAの濃度を公開している。

 汚染はいつまで続くのか。原田さんは、大阪のフッ素化学工場周辺でモニタリング調査したときのデータなどをもとに、「地下水内の有害物質は少しずつ土壌からしみ出すため残留期間が長い。PFOAの場合、濃度が半減するのに7年から10年を要した」と指摘する。

「米軍基地内で調査できない以上、沖縄県が実施しているように基地周辺をぐるっとカバーする形でPFHxSを含む有機フッ素化合物のモニタリング調査をする必要があります。汚染源を特定し、被害状況や今後の影響を予測するためにも調査は不可欠です」

 有機フッ素化合物による水質汚染の原因は米軍基地に限らない。工場周辺などを含む全国を網羅した調査も必要だ。(編集部・渡辺豪)

AERA 2020年1月20日号

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