「毎年入社日をお祝いするのはポジティブなカルチャーだと感じています。会社柄、オフィスのメンバーで撮った写真をフェイスブックに投稿する社員も多いです」

 17年に日本進出を果たした知識共有プラットフォーム「Quora(クォーラ)」も、毎年社員の入社日を祝っている。入社してからの年数を表す数字の風船を、デスクの上に浮かばせて、同僚が「おめでとう」などの声をかける。また、新しいメンバーが増えればチェキを撮り、壁に描かれた世界地図の出身国の上にペタリ。各自が休暇の土産を買ってくる「Vacation Tax」やマイルストーン(目標点)を達成したときに巨大なゴングを鳴らす、といった儀式もある。同社のアダム・ディアンジェロCEOは、効果をこう語る。

「風船をもらうのはうれしいことで、誇りにもつながります。他にも、サンクスギビングデーには全社員で夕食を共にし、感謝の言葉を述べたい人が順番に話す時間があります。普段話さないようなことを話せて、居心地の良い空間になっています」

 かつて、フェイスブックの初代CTO(最高技術責任者)を務めたディアンジェロ氏。巨大プラットフォームで得たものは、ITの知見だけではない。

「アイデアで遊び、意見を交わし合うことが刺激になります。官僚主義的なルールはイノベーションにふたをしてしまう。新しいことに挑戦したいと思える雰囲気や環境をつくらなければいけません」

 ディアンジェロ氏はそう話し、「イノベーションには余裕が必要」と笑顔を見せた。(編集部・福井しほ)

AERA 2020年1月13日号より抜粋

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