例えば、IoTベンチャーの「チカク」が発売している「まごチャンネル」。その名前の通り、実家のテレビと家の形をした本体をケーブルで結ぶと、今まで使っていたテレビに「孫専門チャンネル」ともいえる、新たなチャンネルが出現する。

 ここに子どもがスマホから動画や写真を送ると、家の形をした本体の窓の部分に灯(あか)りがともる。親側が、リモコンの「入力切り替え」ボタンでチャンネルを合わせると、その写真や動画が見られる仕組みとなっている。視聴されると、送った側にも通知がいくので、見守りにもなる。また20年1月には「セコム」の環境センサーを接続することで、「起きた」「寝た」など、暮らしの様子を知らせる機能が加わった商品も発売される。

 チカクの梶原健司社長は言う。

「お孫さんだけでなく、ペットの動画などを送るユーザーも多いです。今年あった大きな台風では、お子さんがネットの避難情報をキャプチャーしてまごチャンネルに送信。電話やLINEなどより説得力は絶大で、親御さんは避難して事なきを得たという便りもいただきました」

 考えてみれば、いつでも、どこでも、誰でも情報を簡単に取り出せるのがITの本懐。これもデジタルの未来形のひとつだ。

 さっそく実家のテレビに設置して、ペットの動画なんかを送ってみた。うちの親はLINEもやっているが、テレビの大画面に届く動画のインパクトはスマホの比ではない。台風の避難情報じゃないが、これは何かをお願いするビデオメッセージなどを送れば、強情な親の説得にも効果がありそうだ。一方通行なのは一見不便だが、デジタルの手紙のようで、かえって都合のいい場合もあるのかも。(ライター・福光恵)

AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号より抜粋

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