ナンバー2の強み。1980年代のアイドルブームにおいて、それを感じさせるのが河合奈保子だ。
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2カ月前にデビューした松田聖子に、続くかたちでブレーク。ライバル的展開も期待されたが、聖子がオリコン1位曲を連発するなど、すぐに別格感をかもしだし始める。また、奈保子も競い合うタイプではなかったため、2番手的な位置につくこととなった。
その後、薬師丸ひろ子、中森明菜、小泉今日子らがオリコン1位常連歌手に。奈保子はそのあとを追う第2集団のひとりとなる。
しかし、そのなかではやはり目立つ存在だった。83年にアルバムで初のオリコン1位を取り、85年、デビュー6年目にして初のシングル1位を獲得。NHKの「紅白歌合戦」には81年から6年連続で出場と、息の長い愛され方をした。
最近、音楽メディア「リマインダー」が実施した「80年代アイドル総選挙 ザ・ベスト100」では、明菜、聖子、小泉、中山美穂に次ぐ5位。美穂とともに80年代後半をリードした南野陽子や斉藤由貴、菊池桃子の上にランクされた。
また、2014年にKKベストセラーズが行った「僕たちの好きな80年代アイドル総選挙」でも、聖子、小泉、南野、明菜、桃子に次ぐ6位だ。由貴や美穂を上回っている。
当時だけでなく、その後のファンの記憶のなかでも息が長いのだ。
その理由は何なのか。まずはそのわかりやすい魅力だろう。
八重歯が印象的で、天真らんまんなアイドルスマイル。楽曲も「好きです」とか「愛してます」といったフレーズがいきなり歌われるような、ど直球なラブソングが多かった。聖子や明菜と違ってひねりがないというか、特に初期は喜怒哀楽の「喜」と「楽」だけで勝負していた印象だ。
それゆえ、一点豪華主義だとか、金太郎飴みたいだとも評されたが、それだけマンネリに堪えうるものを持っていたのである。
また、同期で仲のよかった柏原芳恵とともに、新しさが希薄で、70年代的なアイドルだともいわれた。それでもファンは満足したし、そういう奈保子を愛したのだ。