好きな絵を描き、バンド活動にも熱中する。創作のエネルギーは「怒り」の感情だ/遠崎智宏撮影
好きな絵を描き、バンド活動にも熱中する。創作のエネルギーは「怒り」の感情だ/遠崎智宏撮影
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俳優兼「創作あーちすと」と名乗り、絵や音楽、服作りを楽しむ。「自分で『アーティスト』というのはおこがましいなと。面白おかしく自由にやりたいと思って、ひらがなでハードルを下げました」/遠崎智宏撮影
俳優兼「創作あーちすと」と名乗り、絵や音楽、服作りを楽しむ。「自分で『アーティスト』というのはおこがましいなと。面白おかしく自由にやりたいと思って、ひらがなでハードルを下げました」/遠崎智宏撮影

 12月20日から公開される映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」で声を務めた主人公北條すず役は、のんさんの役者人生において大事な存在になったという。俳優としてだけでなく「創作あーちすと」として、絵や服作り、音楽など、自分の好きなことに邁進する。いつも「のん」であることを大事に生きてきた。AERA 2019年12月23日号に掲載された「現代の肖像」から一部紹介する。

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 純白のレースのドレスを身にまとい、はにかむような笑みがこぼれる。その姿が深紅のステージにあらわれた瞬間、感嘆の声が漏れた。

「えっ、のんだ! めっちゃ、可愛い!!」

「あんなにキレイだったっけ?」

 10月28日、東京・六本木ヒルズアリーナで開催された東京国際映画祭のオープニング。映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」で、主人公の北條すずの声を務めた「のん」(26)は、監督らとレッドカーペットを歩いた。実はこの舞台のため、「はっとするほどの強烈な美人にしてください」とヘアメイクの人に頼んだという。挨拶(あいさつ)の時間が限られていたため、ならば迫力勝負と。すっかり大人びて、輝きを放つ彼女がいた。のんは言う。

「『のん』として初めてスタートを切るときに、『すずさん』を演じさせていただけたのは本当に嬉しかったし、これから役者をしていくうえで欠かせない経験になったと思います」

 2016年に公開された「この世界の片隅に」は、こうの史代の漫画を原作にしたアニメーション映画だ。戦時下の広島・呉を舞台に、ひたむきに生きる主人公と家族が織りなす日常をこまやかに描き、210万人の観客を動員。今作の「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」では、前作では入りきらなかったエピソードが加えられた。250を超える新しいカットがいくつもの場面にちりばめられ、登場人物が胸のうちに秘めた感情の機微を、より描き出している。

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すずと重なる思いがあったかと尋ねると