家の購入やリフォーム時に届け出るだけで得する制度がある。損しないためにも知っておきたいところ。もし知っていても、情報が最新かどうかを確かめてみよう。AERA 2019年12月16日号では、住宅ローン控除などの制度の詳細や注意点を紹介する。
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「知っていれば損せずに……」
埼玉県に住む会社員の女性(43)は、ほぞをかむ。
5年前に4千万円でマンションを買ったが、ローンは夫(46)1人の名義で組んだ。
住宅ローンで自宅を購入した時、住宅ローン控除を使えば年に40万円の所得税の控除を受けられる。しかも、夫婦共働きでそれぞれ住宅ローンを組んで共有名義にすれば控除枠が2倍になる。離婚すると、2人で負担していた返済を1人で負担しなければならないなどデメリットもあるが、メリットは大きい。だが、女性は共有名義のことを知らず単独名義にした。後に友人から「大損しているよ」と聞かされ、計算すると10年間でトータル200万円近く損することになるという。
「ほんと悔しかった。情報はしっかり集めないとダメですね」
住まいの「公的保障制度」でまず思い浮かぶのが、この住宅ローン控除だ。住宅ローンを借り入れて住宅を取得する際、取得者の金利負担の軽減を図るための制度。住宅ローンの年末時点での残高の1%が一定期間、所得税や住民税から控除される。控除額は一般的な住宅なら年最大40万円、長期優良住宅などは50万円になるのだ。実は10月から、消費税増税の対策として住宅ローン控除の支援が手厚くなり、控除の期間が10年から13年に延長された。
住宅ローン控除と併せて利用できることで知られるすまい給付金も、増税後の対策として支援が手厚くなった。一定の収入以下の人が住宅を買った場合の補助金だが、年収の目安がこれまでの「510万円以下」から「775万円以下」に広がり、給付額が最大30万円から50万円に引き上げられた。