各部の研究活動は、教育委員会が勤務時間内研修として承認している。つまり、出張として教員の勤務時間内の研究活動を認めている。他にも、学校施設を研究会場として使用できる、文書メールの送受信や物品の送付等も公のツールが使用できる、教育委員会から担当の指導主事(スーパーバイザー)が割り当てられるなど、大きな支援が保障されている。我々NPOの活動に比べて、大きな利点があり、組織力がある。

 私は現役の校長時代から、密かに「プログラング教育研究会」が立ち上がらないかと期待をしていたが、力及ばす退職となった。

 その後、「みんなのコード」に所属し、先生方に研修する立場に回り、改めて教員自身の「プログラミング研究会」が存在すれば……と思うようになった。

 なぜなら、我々外部の者が、子どもたちに授業をしたり、新しい教材を提供したりするためには、管理職(学校長)の許可取りや、時間割を含めた日程調整など、いくつものハードルを超えないといけない。それに対し、日々志を共にする教員同士の研究会であれば、意見交換をしながら情報を収集し、教材を考え、それを子どもたちにいつでも提供できるわけである。

 もちろん、我々のように知らない外部の者が単発で指導することにも意味はあると思うが、やはり毎日接している担任の先生にプログラミングを指導してもらえる機会が増えれば、子どもたちの馴染みは格段に早まるだろう。

 そこで、退職した者がしゃしゃり出るのは本来カッコいいものではないが、私は研究会新設に必要な情報を収集し、2年前、後輩にあたるプログラミング教育に熱い校長に話を持っていき、管理職以外の部員を集め、自主的な研究会組織をつくってもらうことにした。

 この段階では、教育委員会に認められていない非正規の研究会だったので、研究会に出席するのも出張扱いにはならず、時間外、つまり午後6時過ぎに自費で集まり、細々とした活動を行った。

 そして、昨年11月、その後輩校長である世田谷区立東玉川小学校の奥山圭一校長を会長として、東京都教育委員会に認可申請をするに至った。教科研究でもなく、どこかの大学の先生が背景にいるでもなく、全くの素人集団と言っても過言ではない組織だが、今年3月、東京都教育委員会から「東京都教育委員会研究推進団体として認定する」と文書が届いた。やはり必修化前年度というタイミングでの提案は大きかったと思う。

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こうして「都小プロ」は誕生した