61歳で公立小学校の校長を定年退職した福田晴一さんが「新入社員」として入社したのはIT業界だった! 転職のキーワードは「プログラミング教育」。全国を教員研修で回っているうちに63歳となった。小学校プログセミング教育の全面実施まで5カ月、果たして大学の教員養成課程は準備万端なのだろうか。
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私が所属する特定非営利活動法人「みんなのコード」は、「全てのこどもがプログラミングを楽しむ国にする」をミッションに、教員研修会等の「人へのアプローチ」と、授業等で使用できる無償のウェブコンテンツ(プログル)による「テクノロジーへのアプローチ」の両輪で、プログラミング教育の普及活動を推進している。
「人へのアプローチ」は小学校教員の研修がメインだが、その推進の後押しとなる管理職研修会も増えつつある。また最近は親御さんの関心の高まりもあってかPTAからの研修会の依頼もある。
そのような中、我々は、もう一つ新たなフィールドにアプローチすることになった。これから教員を目指す学生たちのための「教員養成課程」である。一口に教員養成課程と言っても幅が広いので、我々は、小学校教員養成課程を対象に絞り込んだ。
日本には、小学校教諭免許を取得できる大学は、各都道府県の国立大学と私立大学を合わせると250以上もある。
教員養成を主とする何百名という学部生を抱える大学もあれば、定員が10名という地方の私立大学もある。しかし、教員志願者数は年々減少し、競争倍率が下がり教員の資質を懸念する声もある。現に今年度の東京都の競争倍率は2.7倍で、昨年度を0.9ポイント下回っている。一次試験、二次試験と進める中で、他府県の教員採用への移行や、企業等への転換等の辞退者を鑑みると、実質2倍を切っているのではないかという声もある。
私たちは、このような現状から、全面実施される小学校プログラミング教育に関する授業が、どのように展開されているのか疑問をいだいた。そこで、首都圏の複数の大学に現状を問い合わせてみた。すると、
「何に取り組んで良いのかわからない」
「現場でまだ実施されていないのでイメージが湧かない」
「盛り込む時間がない」