人と比べても仕方がないとわかっていても、「よその子と我が子を比べて」しまい、なんだか気持ちが落ち込んでしまうことがあります。恐らく、多くの親が「よその子と比べてしまった」経験をしていると思います。保育士をしている私も、我が子に関してはくり返し、よその子と我が子を比べ「どうしてうちの子はできないんだろう?」と感じてきました。お気づきでしょうか?そう、比べるときはたいていの場合、「子どものできていないところ」にフォーカスが当たっているのです。今回は、「よその子と我が子を比べてしまう」時に、親ができる心がけを話します。
●比べることは悪いこと?
私たちは生活する中で、常に比べて選択して暮らしています。例えばスーパーに行ってみかんを選ぶのでも「こっちの方がオレンジ色が濃くて甘そう」、真夏に飲み物を飲むときも「こっちの方が冷えているからスッキリしそう」など。何げなく比べて選択して生活しています。ですので、比べること自体は悪くはないのです。比べることで評価しようとするから問題が起きてきます。「Aちゃんは寝返りできているのに我が子はできていない。Aちゃんの方が成長が早くて、我が子は成長が遅れている」と優劣をつけてしまうことで、気持ちが落ち込んでしまうのです。優劣をつけないためには、今、目の前にいる我が子を受け入れることが大切です。
●別の理由を考えてみる
「成長のスピードは赤ちゃんによって違う」。これは、もう皆さんよくご存じだと思いますが、改めて復習してみましょう。お母さんのおなかの中から「おぎゃあ!」と生まれた赤ちゃん。最初はみんな寝て、泣いて、また寝て……。発達の面でそう大きな変わりがないように見えますので、ここで比べることはほとんどないでしょう。恐らく、お母さんにとって少し大変に感じる赤ちゃんの個性に気づいた時や、お母さんが「してほしい」ことを我が子ができていないと感じた時に、よその子と比べる機会が訪れます。
「うちの子はどうしてこんなに泣いて抱っこを要求するのだろう」は、今、その子にとって抱っこがとても大切な時期なのかもしれない。「うちの子はどうして寝返りをしないのだろう」は、今、その子にとっては寝返りよりも、おしゃべり(喃語)が楽しくて仕方ない時期なのかもしれない。問題点やできないことにフォーカスを当ててしまった時は、別の理由を考えてみましょう。