NTTデータ経営研究所の茨木拓也アソシエイトパートナー(31)はこう話す。
「時間管理という一見複雑な知的活動も、脳が行う情報処理にほかなりません。脳のメカニズムをより深く理解することが、より効率的な時間管理につながることは十分期待できます」
脳の状態をリアルタイムで可視化する技術により、自分が望む状態に脳をコントロールする「ニューロフィードバック」。医療用に開発されたこの技術を応用し、ビジネスにも活用を促す商品が市販されている。
イスラエル企業が開発した、脳波だけでキャラクターを動かすゲームアプリ「マインドリフト」もその一つだ。国内販売権をもつメディアシーク(東京都港区)の西尾直紀社長(54)は「ゲーム感覚で誰もがそれぞれのシーンに適した脳の状態をセルフコントロールできるトレーニングを目指しています」と話す。
マインドリフトを試すと、まず「注意力」「スポーツのパフォーマンス」「リラックス」「落ち込んだ気分を高める」の四つの中から自分が挑戦したいものを選択することになる。「注意力」を選択し、脳波測定器を装着。アプリ画面をのぞくと、黒服の宇宙人が歩きだした。このキャラクターの動きがユーザーの脳の状態と連動している。
アプリは目的に合った脳波状態かどうかを瞬時に判別。良い状態であれば、アプリ内のキャラクターである黒服の宇宙人が速く走るよう設計されている。試しに座禅を組むイメージで呼吸を整えたが、前を歩く競争相手の白服の宇宙人には一向に追いつけなかった。
脳波とは頭皮上から記録される脳の電気的な活動で、α(アルファ)波、θ(シータ)波、β(ベータ)波といった周波数による成分のほか、運動や動作の準備・実行に連動して変化するSMR(感覚運動リズム)という機能的な成分に分けられる。
マインドリフトは、目的に合った脳波の状態をそれぞれ以下のように設定しているという。
注意力は「SMR↑(上昇)、θ波の一部とβ波の一部↓(下降)」、スポーツのパフォーマンスは「θ波の一部とα波↑、β波の一部↓」、リラックスは「α波↑、θ波の一部とβ波の一部↓」、落ち込んだ気分を高めるときは「β波↑、θ波+α波とβ波の一部↓」といった具合だ。