厚生労働省の報告によると、全国の保育所、幼稚園、小・中・高校におけるインフルエンザによる学級閉鎖は、10月20日時点で東京で累計96校、沖縄で142校(撮影/写真部・松永卓也)
厚生労働省の報告によると、全国の保育所、幼稚園、小・中・高校におけるインフルエンザによる学級閉鎖は、10月20日時点で東京で累計96校、沖縄で142校(撮影/写真部・松永卓也)
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インフルエンザ報告数 過去5年との比較(AERA 2019年11月11日号より)
インフルエンザ報告数 過去5年との比較(AERA 2019年11月11日号より)

 例年より2カ月近く早く、インフルエンザの流行が報じられた。背景にはグローバル化の影響がある、と医師は言う。来年には東京五輪を控える。AERA 2019年11月11日号に掲載された記事を紹介する。

【図版】インフルエンザ報告数 過去5年との比較

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「帰国前日から微熱があり、来院時は39度まで熱が上がっていました。ぐったりしていて、渡航先を聞き、すぐにインフルエンザを疑いました」

 10月初旬、東京・ナビタスクリニック新宿院長の濱木珠恵医師は、シンガポールから帰国した妊婦を診察。インフルエンザ検査の結果は陽性だった。

 シンガポールは熱帯で、インフルエンザが流行するイメージは一般にあまりない。

「東南アジアは、年に2回インフルエンザの流行期があり、通年して感染するリスクがあります。夏休み明け、東南アジア旅行から帰った人がインフルエンザに罹患するケースは珍しくありません」

 今年は例年より2カ月近く早く、インフルエンザの流行が報じられた。夏休み明けから全国の小・中学校では学級閉鎖が相次ぎ、10月20日までに東京都で幼稚園・高校なども含め累計96校が閉鎖。台風19号などによる被害で避難所生活を送る人々の間での感染も懸念され、10月27日、福島県伊達市は避難所生活者を対象に、無料のインフルエンザ予防接種に踏み切った。

 異例の早期流行の理由を、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は「グローバル化にある」と断言する。

「国際的な交流が盛んになっていることが早期流行の要因です。夏休みは海外旅行へ行く人も増えるし、訪日する外国人観光客も増えた。人口あたりの観光客数が東京を上回る沖縄での流行が早かったのも、その証左です」

 沖縄は2018年度に外国人観光客が300万人を突破し、同年には外国人観光客を発端とする麻疹(はしか)の集団感染も発生。インフルエンザについては、今年は9月11日から警報を発令中だ。

 上医師は、9月20日から開催されたラグビーワールドカップの影響も指摘した。

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