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――ジャズに魅せられ、世界一のジャズプレーヤーを目指す青年の姿を描いた漫画『BLUEGIANT』のアニメ映画が公開中だ。楽譜も読めず、ジャズの知識もなかったが、ただひたむきにサックスを吹き続けてきた主人公・宮本大に俳優の山田裕貴さんが声を吹き込んだ。
山田裕貴(以下、山田):「実写化しないでくれ~」って思う作品ってあるじゃないですか。僕にとって、『BLUEGIANT』はその一つでした。「漫画から音が聴こえてくる」と言われるくらい奥行きがあるし、圧倒的な演奏技術を持ったキャラクターたちが出てくる。実写では難しいんだろうなと思っていたんです。だから、アニメーションで映像化するって聞いて、「そうやん、その手があったか!」ってハッとしました。
ただ、自分が大を演じると言われたときは、「俺でいいんですか?」というのが率直な気持ちでした。これまでも声優をしたことはありますが、主人公として出ずっぱりなのは初めてです。アニメもゲームも大好き。でも、俺にとっては見て楽しむもので、やってみたいと声優さんの発声を真似してみても、ニュアンスや息の入り方が全然違います。
「ありがとう」と伝えるだけでも、「う」の音を上げるか下げるかで印象が変わるし、セリフの一音一音を考えては、いやこうじゃないと思ったり。
――葛藤するなかで、尊敬する声優・宮野真守さんの言葉を思い出した。
山田:宮野さん自身も声の高さや低さを変えたり、テクニックを意識していた時期があったと話してくれました。だけど、「最終的には心だよ」「心ならいっぱいやってきたでしょ?」と言ってくれて。その言葉を思い出しながら演じていたら、途中から「ハートでぶつかろう」「ジャズってそういうことだべ」みたいな感覚に切り替わりました。僕たち役者がやった意味は絶対にあると思っているので、それが伝わればうれしいです。