photo 写真映像部・戸嶋日菜乃
photo 写真映像部・戸嶋日菜乃 hair & make up 小林純子 styling 森田晃嘉 costume ダイリク、サノバチーズ、ジル プラットナー

ネガティブな自分

――漫画が大好きで、『BLUE GIANT』も愛読。5年前には、ツイッターで原作の感想をこうつづっていた。

山田:ジャズって、おしゃれな人が聴くものだと思っていたから、『BLUE GIANT』を読むまでは意識して聴いたことがなかったんです。でも、人と人との出会いが音に乗って、感情を伝えることで色んな人が動かされていく姿そのものがジャズなんですよね。それは音楽以外でも同じで、そういう人の熱や心みたいなものがすごく好きだと思いました。でも、そのときツイートしていたことを忘れていたので、自分でもびっくりしました(笑)。

 僕は、セリフがなくても目や表情だけでその人の何かが伝わってくる演技をしたくて、日々もがいています。感情を音で伝えようと全身でサックスを鳴らす大の姿やセリフは自分の気持ちに重なる部分がたくさんありました。

――声を演じるにあたり、サックスに挑戦した。マウスピースをくわえるのも初めてだったが、一発で音が鳴った。自身は「勘がいいほう」だが、「だからこそ嫌になるときもある」と話す。

山田:自分のなかで厳しく査定してしまう癖があって、ダメだったところばかり気になるんです。監督がOKと言ってくれたものを信じたほうがいいって学んだ部分もありますが、常に「今のは違うんじゃないか」って思ってしまう。めんどくさいですよね……。僕、すごくネガティブなんです。

――不安を抱えるなか、劇中の音楽を担当するピアニストの上原ひろみさんに「あなたの音は本当に素敵」と声をかけられ、「1ミリだけ」自信が持てたという。

山田:音のプロの方に言っていただけて、ようやく一個安心できました。いつか自信を持って「やりました!」って言いたい。

「俳優王に俺はなる」

――自信がないからこそ、言葉にして自分を奮い立たせてきた。大が「世界一のジャズプレーヤーになる」と公言するように、山田さんも周囲に宣言した言葉がある。

山田:18歳のときにバイト先の飲食店でネームプレートに「俳優王に俺はなる」って書いていたんですよ。お客さんの誰かが「あの子どうなったかな」ってふと思い出したときに、「山田裕貴だ」ってなればベストだと思って、宣言していました。

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